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住宅購入は大きな買い物なので「家を建てるタイミングはいつがいい?」「コロナ禍だから購入は諦めるべき?」と悩んでいる方も少なくありません。

今回は、家を建てるタイミングをデータやライフプランをもとに解説していきます。2022年の社会情勢から見たタイミングについても説明していきますので、ぜひ参考にしてください。



統計から考える家を建てる(買う)タイミング


家を建てるタイミングは人それぞれだとわかっていても、他の人がどんなタイミングで住宅購入をしたのか気になるものです。

ここでは国土交通省が発表している「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」のデータをもとに、世帯主の年齢・世帯年収・居住人数・貯金額から見る家を建てるタイミングについて解説していきます。


「年齢」から見た家を建てるタイミング


データによると、注文住宅を建てたときの世帯主の平均年齢は40.9歳でした。内訳を見てみると、もっとも多いのは30歳代の44.8%、続いて40歳代の23.3%、30歳未満の12.8%です。

30歳代で家を建てる人が多い理由には家族構成はもちろん、住宅ローンも関係していると考えられます。30歳で住宅ローンを組めば、返済期間が35年だとしても定年と同時に完済できるので、退職金を老後資金に充てられます。

ライフプランから逆算して、家を建てる年齢を考えるのも一つの方法です。


「世帯年収」から見た家を建てるタイミング


注文住宅を建てた家庭の世帯年収の平均は、779万円です。内訳を見ると、600〜800万円が25.3%、400〜600万円が22%、800〜1,000万円が17.5%でした。

しかし「世帯年収」は世帯主だけではなく、生計を共にしている家族全員の年収を合わせた金額なので、家族構成や働き方によって大きな差が出ます。

さらに年収は住んでいる地域によって差があり、購入する住宅の価格も人それぞれです。

そのためデータよりも、住宅ローン年間返済額が年収に占める割合(返済負担率)からタイミングを考えたほうが良いと言えます。

年収のデータは、あくまで参考程度に頭に入れておきましょう。


「居住人数」から見た家を建てるタイミング


注文住宅を建てたときの居住人数は、3人の29.5%が最も多く、4人の27.3%、2人の26%と続いています。平均すると1世帯あたりの居住人数は3.3人でした。

家族が増えたタイミングや、共働きで家計に余裕があるうちに家を建てている人が多いことがデータから読み取れます。


「貯金額」から見た家を建てるタイミング


データによると、注文住宅を建てたときの自己資金の平均額は1,203万円でした。しかし、自己資金には親からの援助も含まれるため、全額を貯金から捻出したとは言い切れません。

退職金を一括して自己資金にするケースもあるので、住宅購入時の貯金額は人それぞれです。平均額はあくまで参考程度にとどめておきましょう。

また、最近ではフルローンを組み、頭金0円で住宅を建てる人も多くなってきました。貯金があることはもちろん大切ですが、家計の状況やライフプランなどから家を建てるタイミングを考えてみてください。


ライフイベントから考える家を建てる(買う)タイミング


ここまでは、データから家を建てるタイミングを考えてみましたが、住宅取得のタイミングは結婚や出産などのライフイベントを考慮することも大切です。

ここではライフイベントから見る、家を建てるタイミングを考えていきましょう。



結婚したタイミング


結婚は人生の中でも大きなライフイベントです。結婚を機にパートナーと共に生活をスタートするために「まずは賃貸に住もう」と考える方が多いのですが、結婚は家を建てる一つのタイミングだと言えます。

結婚と同時に家を建てれば、賃貸物件に入居する際に必要な、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用がかからないからです。さらに賃貸から持ち家に引っ越す際の引っ越し代金や、家具の買い替え費用なども抑えられます。


出産したタイミング


出産して家族が増えると、生活が一変します。マンションやアパートに住んでいる方は、子どもの泣き声や足音などが近隣に響いていないか気にしてしまいますよね。

そのため「子育てしやすい環境を整える」という目的で、出産のタイミングで家を建てる方も多いです。


子どもが進学するタイミング


子どもが進学するときも、家を建てる一つのタイミングだと言えます。進学してからの住宅購入になると、転校が必要になる場合は子どもに負担がかかってしまうからです。

また、通わせたい学校や教育に積極的な学区がある場合にも、子どもが進学するタイミングで家を建て、環境を整える方が多くみられます。

ただし、入学前に引っ越しを終えたいと考えている方は、希望入居時期から逆算して家づくりをスタートしてください。


子どもが独立したタイミング


ここまでのタイミングを見ると、子育てのために家を建てる方が多いのですが、子どもが大学進学や社会人になり独立したタイミングで家を購入するケースもあります。

子どもが独立すると子ども部屋が必要ないので、コンパクトな間取りで家を建てられ、その分建築費用も抑えられることがメリットです。

また、老後を見据えて家全体をバリアフリーにしておけば、介護が必要になったときに改めてバリアフリーリフォームをする必要がないので、リフォーム費用も抑えられます。


2022年に家を建てても大丈夫?


家を建てるタイミングについて考えたとき、心配になるのが「2022年に家を建てても大丈夫か」ではないでしょうか。

2022年には、コロナ・円安・物価上昇・ウクライナ情勢・ウッドショック・アイアンショックなど、さまざまなことが起こりました。

結論から言うと、注文住宅を建てる資金に問題なければ、2022年に家を建てても問題ありません。では、2022年に起こったさまざまな出来事が、どのように住宅価格に関係しているのかを見ていきましょう。



コロナ禍は住宅価格にどう影響する?


コロナ禍が直接の原因ではありませんが、間接的に住宅価格の高騰に影響を与えています。

たとえば、コロナ禍になったことでテレワークが普及し、アメリカや中国では住宅需要が急激に増加。両国が木材を大量に輸入しました。

需要の増加によって木材価格が高騰し、さらにコンテナ不足が拍車をかけたことにより「ウッドショック」が起こってしまったのです。

ウッドショックの影響で国産材は2倍以上に、輸入木材は3〜4倍にまで価格が上昇したため、木造住宅の価格は数十万〜数百万単位で跳ね上がりました。


金利でみると2022年は良いタイミング?


2022年に入り、全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」の金利が6ヶ月連続で引き上げられ、さらに6月末には国内大手5行も固定金利の引き上げを発表しました。

これを受け「金利が高いから住宅購入は見送るべき?」と考えた方も多いでしょう。しかし、引き上げされたのは固定金利のみで、変動金利は現在も超低金利が続いています。

変動金利は日銀の金融政策が直接影響するため「マイナス金利制作」が続く限りは、しばらくは超低金利が続くと予想されます。

たしかに固定金利は上昇していますが、返済プランに問題がないのであれば、金利の上昇を理由に住宅購入を見送る必要はありません。「できるだけ低い金利で借り入れしたい」方は、変動金利でローンを借り入れる方法もあります。

金利の上昇よりも、返済プランから住宅購入のタイミングを考えてみてください。



ロシアのウクライナ侵攻・円安は影響ある?


ロシアのウクライナ侵攻や円安も、住宅価格に影響を与えているのか心配に思いますよね。ウクライナ情勢によって住宅市場に影響するのは「原油価格」です。

ウクライナ情勢を受け、ロシアからの原油輸出の停止を恐れた各国が原油を買いに走った結果、原油価格が高騰しました。

原油は樹脂製品の原材料なので、原油価格の高騰は住宅設備や建材の値上げにもつながります。現に2022年に入ってからは、住宅設備メーカーが相次いで値上げを発表しました。

また、原油価格の高騰に加え、円安の加速も住宅価格の高騰に影響しています。円安になると輸入時にたくさんの「円」が必要になるため、輸入に頼っている日本には大きな痛手。

メーカーも値上げをせざるを得ない状況になっているのです。事情を知ると「ウクライナ情勢や円安が落ち着くまで購入を待つべき?」と考えるかもしれませんが、購入を先送りにしたからといって、住宅価格が値下げされる可能性は極めて低いと言えます。

ウクライナ情勢や円安に関係なく、住宅価格を決める要因である「建築資材費・住宅設備費・人件費」の3つがすべて年々上昇傾向にあるからです。

値上げと聞くと不安になるかもしれませんが、返済や資金に問題がないのであれば、「2022年に家を建てても大丈夫」だと言えるでしょう。


住宅優遇制度にはどんなものがある?


住宅価格の高騰や社会情勢を受け、国は住宅購入者に次のような優遇制度を用意しています。


  • ◉住宅ローン控除の特例の延長
  • ◉すまい給付金の適用期間延長
  • ◉新築住宅の固定資産税の減税措置の延長
  • ◉こどもみらい住宅支援事業の創設

それぞれ適用条件や補助金額、控除額などが異なるので、簡単に見ていきましょう。



「住宅ローン控除の特例」の延長


「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを利用して新築住宅を購入した場合、13年間にわたってローン残高から0.7%が控除される制度です。

住宅ローン控除は、入居の適用期間が令和4年〜7年に延長され、住宅の省エネ性によって借入限度額も段階化されました。

参考:国土交通省「住宅ローン減税」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html


「すまい給付金」の適用期間延長


「すまい給付金」は、収入に応じた給付金を住宅購入時に受け取れる制度です。最大で50万円の給付金を受け取ることができます。

入居期限は2021年末までの予定でしたが、2022年末まで延長されることが決定しました。

参考:国土交通省「すまい給付金」
https://sumai-kyufu.jp/


「こどもみらい住宅支援事業」の創設


「こどもみらい住宅支援事業」は、カーボンニュートラルの実現を目指すために、子育て世帯や若年夫婦世帯による省エネ性能の高い住宅取得やリフォームに対して補助金を出し、省エネ性の高い住宅ストックを図る事業です。

注文住宅の場合は、住宅の省エネ性能などに応じて最大で100万円の補助金が交付されます。申請はハウスメーカーや工務店などの事業者が行うため、会社選びの際には事業に登録しているか調べておきましょう。

なお、ユニバーサルホームは事業者登録をしておりますので、補助対象です。

参考:「こどもみらい住宅支援事業」
https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/


まとめ


家を建てるタイミングは人それぞれですが、データを見ると平均値や内訳がわかり、購入の背景も見えてきます。統計からタイミングを考えるときには、数値にとらわれすぎない程度に参考にしましょう。

結婚・出産・子どもの進学のようなライフプランも、住宅購入時期を考える一つのタイミングです。住宅購入前にライフイベント表を作成し、家を建てるタイミングについて家族で話し合ってみてください。

2022年はコロナ禍・円安・インフレ・ウクライナ情勢など、いろいろな出来事が起こったため、住宅購入を躊躇している方も多いと思います。

けれど、返済プランに問題がないのであれば、2022年に家づくりをスタートさせても問題ありません。返済シミュレーションをしっかりと行い、家づくりと向き合ってみてくださいね。